Sponge Park: Gowanus Canal

ニューヨーク市ブルックリンに位置する人工運河、ゴワナス運河はかつて産業廃棄物や生活排水が流れ込んだ結果、深刻な汚染に悩まされるようになり、異臭や有害物質が問題となりました。
本書は、そこを舞台にした革新的な都市デザインプロジェクト、DLANDstudioが設計した「スポンジパーク」のコンセプトや実施過程を紹介します。

スポンジパークは、都市の浸透性を向上させるための先駆的な取り組みで、雨水の流入を減らし、運河の水質改善や下水処理の軽減を目指しました。同時に周辺住民に新たな公共空間を提供することも目的としています。このプロジェクトは、2020年にクーパー・ヒューイット国立デザイン賞（気候行動部門）を受賞するなど、高い評価を受けています。
本書には、詳細な写真、図面、計画図が含まれており、気候変動や都市デザインに関心のある方にとって必見の内容です。



ゴワナス運河（Gowanus Canal）はもともとは自然の小川であったゴワニーズ川を拡張して作られ、産業用の輸送路として利用されていました。
歴史的には、1600年代にオランダ人によって開発が始まり、19世紀にはニューヨークの産業拡大に伴い、運河の幅や深さが拡張されました。しかし、産業廃棄物や生活排水が流れ込んだ結果、運河は深刻な汚染に悩まされるようになり、異臭や有害物質が問題となりました。
現在では、環境改善の取り組みが進められており、スーパーファンドによる浄化プロジェクトが行われています。また、周辺地域は再開発が進み、アートギャラリーやスタジオが増え、若いアーティストたちに人気のエリアとなっています。

DLANDstudioは、ニューヨーク市ブルックリンに拠点を置くインターディシプリナリーデザイン事務所(複数の分野や専門領域を統合し、従来の枠を超えた革新的なアプローチを採用する）2005年にスザンナ・C・ドレイク（Susannah C. Drake）によって設立され、都市環境をより生態学的に生産的にすることを目指しています。

スザンナ・C・ドレイク（Susannah C. Drake）
彼女はダートマス大学で学士号を取得し、ハーバード大学大学院デザイン学部で建築学とランドスケープアーキテクチャの修士号を取得しました。DLANDstudioを設立した後、ゴワナス運河スポンジパークやQueensWayなどのプロジェクトを手掛け、都市の生態学的インフラストラクチャーの改善に貢献しました。
また、彼女の作品はMoMAやスミソニアンデザイン博物館の永久コレクションに収められており、2020年にはクーパー・ヒューイット国立デザイン賞（気候行動部門）を受賞しています。さらに、彼女は大学で教鞭をとり、環境デザインや都市インフラに関する講義を行っています。