Architecture and Micropolitics: Four Buildings 2011–2022. Farshid Moussavi Architecture

建築家はもはや建築を作る中心的存在ではない、設計は完全に形成された建築のビジョンから始まる直線的なプロセスであるという、広く受け入れられている2つの誤解を払拭しようとするタイムリーな本です。
建築家ファルシッド・ムサヴィは、建築の時間性が日々の実践に変化をもたらす可能性を主張しています。決定論を捨て、偶然の出来事と日常生活のミクロ・ポリティクスに建築を根付かせるために、実践に影響を与える主観的な要素を受け入れることを提案します。

本書は、ロンドンを拠点とするムサビの設計事務所FMAが設計した4つの建物を取り上げ、彼らの設計プロセスの根源的な性質が、熱心なリサーチと偶然性の要素への寛容さと結び付き、創造性を刺激し、単なる機能的な建物を生み出すであろうルールをいかに曲げるかを示しています。

ファルシド・ムサヴィによるエッセイと哲学者ジャック・ランシエールのあとがき、クリーブランドの現代美術館、パリのラ・デファンス地区に30年ぶりに建設された集合住宅ロット19、モンペリエのフォリー・ディヴィヌ集合住宅、イスマイリー・コミュニティーのために作られた米国初の新築ビル、イスマイリーセンターヒューストンが詳細に分析されています。
また、イニャキ・アバロス、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、イレーネ・スキャルベールによる寄稿も掲載されています。